採択課題要旨

連番
000014
研究課題名
医療用添付文書記載要領および薬物相互作用ガイドライン等の改訂をふまえた新しい添付文書情報に関する調査分析
代表研究者
猪川 和朗(広島大学大学院臨床薬物治療学)
要旨
課題研究の趣旨:
「医療用医薬品添付文書記載要領」、「薬物相互作用」および「母集団薬物動態・薬力学解析」ガイドラインの改訂中に、代表的医薬品で必要十分な記載内容、不足データ等を具体的に示すことは、添付文書情報の適正充実化に資する。

課題研究の背景(必要性):
 薬物相互作用に関する情報は「薬物相互作用の検討方法について」(平成13年)により示され、薬物の吸収、分布、CYP等の薬物代謝や排泄での薬物相互作用評価の原則、臨床試験実施タイミングとデザインが示されている。約15年が経過し、海外のガイドラインの動向やトランスポーター等の科学的知見の集積をふまえ、平成25年に改定案が提示された。平成26年7月には「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」が公表された。また「医薬品の臨床薬物動態試験について」(平成13年)も改訂中で「母集団薬物動態・薬物学解析ガイドライン(案)」が意見募集された。
 添付文書の情報は「医療用医薬品添付文書の記載要領について」、「医療用医薬品の使用上の注意記載要領について」(平成9年)、「医療用医薬品添付文書の記載要領について」(平成9年)で示されている。約20年が経過し医療環境が変化したため「医療用医薬品添付文書の記載要領改訂案に係る意見の募集」(平成28年6月)が示され、平成28年度通知、平成31年度施行が予定されている。しかし、これら全ての改訂が整合する添付文書情報の具体的内容は示されていない。

課題研究の目的(期待される成果):
 改訂添付文書記載要領案では事項・内容が抜本的に大改訂されており、薬物相互作用や薬物動態の情報提供は多様で多岐にわたるため、特記項目(番号45、214-217、219、367など)を含めた網羅的かつ医療従事者等に有用で理解しやすい添付文書記載が求められる。そこで本課題研究では、主な薬効群と作用機序、開発時期等の観点から選定した代表的な医薬品を対象に、新旧のガイドラインおよび記載要領の比較、米国・欧州等の海外添付文書などの調査分析により、今般の各種ガイドラインおよび記載要領改訂をふまえた、規制上必要な記載内容、現行の記載内容から移行する際に不足しているデータ、さらに発展的に十分な事項・情報量を有する記載内容を明らかにし、具体的なモデルを作成して提案する。そして、審査報告書、医薬品リスク管理計画等も参考に、これらを充足するために追加で必要となる試験項目や実施方法などについても提案する。本課題研究の結果は、基本的な医薬品情報源たる新しい添付文書情報の適正充実化のモデルになるとともに、今後の医薬品開発の効率化、医薬品相互作用の防止等による適正使用の推進にも有益と考えられる。
設置期間
平成 29 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
資料