採択課題要旨

連番
000013
研究課題名
アスピリンの抗血小板作用に及ぼす非ステロイド性抗炎症薬の影響に関する研究:レセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究
代表研究者
真野 泰成 (東京理科大学薬学部)
要旨
課題研究の趣旨:
レセプト(診療報酬明細書)情報などの大規模医療情報データベースを利用し、心血管イベント発症をメインアウトカムとして、アスピリンの抗血小板作用に及ぼす非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の影響について検討する。

課題研究の背景(必要性):
 心筋梗塞や脳梗塞などの予防目的で低用量アスピリンを服用している患者が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を併用する場合、これらの相互作用に関する情報は重要である。アスピリンとオブプロフェンとの併用については、アスピリンの抗血小板作用が減弱することが知られており、双方の添付文書において注意喚起がされている。
 我々は以前、アスピリンの抗血小板作用に対する影響を検討するために血液への in vitro 添加実験を行った。その結果、NSAIDs の種類によってアスピリンとの相互作用の程度が異なることが示唆された(医療薬学,36,382-391,2010)。さらにロキソプロフェンナトリウムとの相互作用について服用後の血小板凝集能を検討するため臨床実験を行った結果、アスピリンの抗血小板作用はロキソプロフェンナトリウムにより減弱することが示唆された。(医療薬学,37,69-77,2011)。
しかし、アスピリンの抗血小板作用に及ぼす NSAIDs の影響について、心血管イベント発症をアウトカムとした研究に関する報告は殆どないのが現状である。

課題研究の目的(期待される成果):
 本研究の目的は、レセプト(診療報酬明細書)情報などの大規模医療情報データベースを利用した後ろ向きコホート研究を行い、心血管イベント発症をメインアウトカムとして、アスピリンの抗血小板作用に及ぼす NSAIDs の影響について検討することである。また、2次アウトカムとしては NSAIDs の薬剤別および併用期間における心血管イベント発症リスクについて層別解析を行う。
 レセプト情報等のデータベースを利用したビッグデータ解析により、大規模な対象患者を対象としたコホート研究が可能となるのが本研究の特徴である。
 本研究は、心筋梗塞や脳梗塞などの予防目的で低用量アスピリンを服用している患者に対する医薬品の適正使用に繋がり、抗血小板療法に関するエビデンスの1つになることが期待される。
設置期間
平成 29 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日
資料